田舎暮らしで生計をたてるには

田舎暮らしを決断した要因

「田園回帰線」の要因を分析するために、実際に、過疎地域に移住した人に対し行われた、平成29年アンケートについての総務省の調査報告によれば、移住者が移住する際、最も重視したこととして「生活が維持できる仕事(収入)があること」が21.5%と最も高い割合を占めたことが明らかにされている。また、Uターン・Iターン者に共通するものとして、「移住後の仕事(働き口)の紹介」が利用した行政施策に対する回答として多かったことも指摘されている。
 以上のように、田舎暮らしを希望する者の関心が動機へ変化するためには「生計」が重要な要因となっていることがわかる。

適切な情報を得る方法

先に述べたように、田舎暮らしが関心から動機へと繋がるためには、心配事(特に生計に関するもの)を払拭するための具体的な情報を得ることがまず必要である。一般的には、インターネットを利用した情報収集から始まり、市町村の窓口やハローワークの窓口を経由することがスタンダードな流れといえるだろう。もっとも、人によっては、手っ取り早く過疎地域の体験学習などに気軽に参加し、地域コミュニティを肌で感じることで田舎暮らしを具体化してゆく者もいる。いずれにせよ積極的に情報収集する姿勢と情報収集のためのツールを持つこと、特にネット環境を有することがまず田舎暮らしの第一歩である。

田舎暮らしの生計手段

では、実際に田舎暮らしをするためにはどのような生計手段があるだろうか。

  1. 公務員
     安定した生活を重視する人は、地方公務員の中途採用試験を受けることを考えるだろう。しかし、各市町村でその採用年齢や区分は異なり、一般的に30代中盤を過ぎるとこの手段は難しくなる。とはいっても近年政府施策に基づき、40代の就職氷河期世代に対する中途採用枠を拡大している自治体もあることから、今後の動向について注視する価値はある。
  2. 新たな職種へのチャレンジ
     他方、田舎暮らしを人生のターニングポイント捉える人にとってはカフェや農業などの職種に新たに就くことを選ぶことも多い。自治体によっては助成制度や研修制度が充実しているところもあり、比較的希望者も多い。中には自ら率先して仲間を募り、クラウドファンディングなどの方法をとる人もいるし、突撃同様住み込みの仕事をみつける人もいる。やり方に捉われない柔軟な思考をもつことも重要である。
  3. 専門職
     専門職の資格があること、特に医療職は過疎地域の高齢化という視点からも、田舎での生計を立てる強みとなる。医療資格を得ることも田舎暮らしの第一歩である。
  4. テレワークやクラウドソーシングの利用
     生計手段は変えずに、地域移住ができる方法である。しかしながら、現在の勤め先がテレワークを推奨しているか否かで左右されるし、クラウドソーシングで主たる生計を維持することは難しいと言わざるを得ない。
  5. 非正規雇用
     なにも田舎暮らしを正職員から始める必要はない。究極的には田舎でもコンビニはあるし、高齢者を採用している地方企業もある。夫婦の一方が何らかの生計を得る方法を有しているならば、非正規であっても都会同様暮らしは可能である。
  6. 不動産収入
     現在資産に余裕がある人であれば、居住予定地域に不動産を所有し、賃金収入を得ることも方法の一つである。しかしながら、アパート賃金収入には地域格差があり、それを踏まえることが必要である。

田舎暮らしで生計を立てる上での注意事項

  1. 最低賃金
     忘れてはならないのは、最低賃金の地域格差である。東京の985円に対し、ながらく鹿児島県では761円と200円以上の差があった。年度毎に格差は是正されてきているが、地方では中小企業の資金力が弱いこともあり、地元経済界の意向も最低賃金に大きく影響するため、移住する地域の最低賃金は最低限知っておくべきである。
  2. ライフプラン
     田舎暮らしを希望する人の多くが、田舎は都会よりもお金がかからないと誤解している。離島では、生活用品などにも送料が上乗せされ、都市部より一般的に日用生活品は高い。
     また、北海道や東北地方では暖房費などの光熱費が思ったより高額になることを忘れている人も多い。冷房により光熱費が高額となる地域もある。田舎暮らしでの光熱費を都会における光熱費と同様に考えることには注意が必要だ。
     そして、子供と一緒に移住する場合には、自治体により乳幼児医療費などの助成額に格差がある。出産一時金の支払いなどがある地域とない地域もあり、母子支援制度について調べておくことも必要である。
  3. 地域住民との交際費
     以外と問題となるのが、田舎の暗黙の交際費である。都会ならばせいぜい町内会費などで済むところが、寄り合い費用や催し費用などの名目で徴収されるお金が予想外にある。このことを全く想定してしなかったため、後々トラブルになるケースもある。
  4. 水道民営化
     近年の事情で注目しなければならないのは、2018年12月6日、第197臨時国会の衆院本会議において与党などの賛成多数で成立した改正水道法である。これは公共施設の運営権を民間企業に一定期間売却する「コンセッション方式」の導入を自治体の水道事業でも推進するものである。これにより、資金力をなくした民間企業が水道の維持管理ができなくなるリスクがあり、移住先の自治体によっては水道料金が非常に高額になる場合がでてくる恐れがある。実際に、2018年には岩手県雫石町の民間経営の水道事業で、供給を受けている民家やペンション35件で料金の追加徴収が浮上し、供給停止騒ぎにまで発展している。全国どこでも同一料金高い質を維持していた水道というインフラが突如問題となるケースがあることも知っておくことが必要である。

リスク管理

  1. 生計が維持できなくなるリスク
     仮に、田舎暮らしで生計を立てる具体的目途がついたとしても、自己あるいは家族の健康上の理由により生計を維持することが突如困難となる恐れがある。
    保険や年金などを移住前に見直しておくことも必要である。また、移住先にはどのような社会保障制度が用意されているのかきちんと調べておく必要がある。できれば夫婦別に職業があることが望ましく、このようなリスクを少しでも回避しておくことが望ましい。
  2. 生計以外についての問題
     居住予定地域の住人との関係はある意味、生計という要因よりも重要であるかもしれない。地域によっては移住者に対する偏見が強いところもある。移住者が多い地域であったとしても、地方居住者の就職率が悪い地域などは競争原理から、居住後、嫌な思いをすることがあることも想定しておく必要がある。
     もっとも、Uターン者であるがゆえに、地域住人との良好な関係が担保されるのではないということも忘れてはならない。
     都会で人間関係に悩んだ人が地方に移住し、輝かしい生活を送ることができるのはほんの一部である。人間関係に自信がない人は安易に移住に希望を見出すのではなく、身近なところから田舎暮らしに匹敵する居場所を見つけることも田舎暮らしの一歩として重要である。

まとめ

以上、田舎暮らしにおける生計の意味は非常に大きい。ある意味、移住前の情報収集、計画がその後の田舎暮らしを左右するといっても過言ではない。もっとも、生計のみに捉われてしまっては田舎暮らしが失敗することになる。
人間関係は地方・都会にかかわらず人が生活を営む上での基本である。これを忘れては本末転倒であろう。

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